2014/6/29

外道に理屈は通じない

 アメリカ以外の世界からひんしゅくを買い、信用を失ってしまう。ふたたび国民の生命と生活を破壊する結果に発展する。こんなことをいま安倍晋三とその政府は行なおうとしています。その不当、その無謀については多くの見解が出尽くしているようですから、わたしは今回の集団的自衛権、あるいは集団安保が可能になった場合の影響について述べたいと思います。

 最大の影響は教育現場にこそ及びます。どう逆立ちしても、憲法の条文から集団的自衛権の行使は不可能なのです。教員は政府の屁理屈を子供達に言えるでしょうか。理解させられるでしょうか。落ち目になってきたアメリカの覇権主義の片棒を担ぐ為に、「替わりにお前が戦争しろ!」とどやされた現政権がなりふり構わず自国民をごまかそうとしているわけですから、いくら何でもそんなことを子供には言えない。ではなんと説明するか。できません。説明などできる理路がありません。教員は意識的に現代社会を省略してしまうか、あるいは立憲主義、三権分立の建前だけをそそくさと述べ、お茶を濁すしかありません。

 更には教科書です。文部省の検閲を通過させる為には、政府の意図に沿った内容を書かなければなりませんから、おそらく心在る著者には難題です。集団的自衛権行使を積極容認する御用学者がまさに「こどもだまし」の見え透いた屁理屈を書くことになるでしょうね。こうして子供達は現実社会とはかけ離れた嘘八百を刷り込まれ、大学辺りで少しでも自我に目覚めた途端、初めて真実を知ることになります。その子達がぐれることなくまっすぐに嘘を暴いてくれることを願うばかりです。同時に彼らはこの事態を手をこまねいてなすすべを知らなかった大人達を激しく憎悪することにもなります。  

 もうひとつ。NPO関係者及びジャーナリスト達の多くが述べている「戦争をしない国、日本」という信頼は一気に崩れて、回復することありません。私たち日本人は今後海外で「戦争を仕掛けてくるかもしれない日本人」と見なされることになります。タフな神経が必要です。なにかと勘ぐられることが増えます。これが幸福なことでしょうか。

 こんな国を目指しているのが安倍晋三です。「閣議決定」などという姑息な方法で実質憲法を変え、その無法をごり押ししています。すでに立憲主義の精神を踏みにじっています。立憲主義も民主主義も捨てようとしています。まさに、外道としか言いようがありません。そのような者に想像力があるはずもなく、理屈が通じるわけもありません。さあ、どうしてやりましょうか。

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