2010/2/22

2月8日、はからずも網走での流氷接岸初日にオーロラ号に乗りました。北海道に生まれていても流氷を見るのは初めてです。シャーベットを分厚くばらまいたような第一印象です。もっとゴロゴロごつごつしたものを考えていましたが,水分を含んだ雪のようで多少期待はずれです。とはいえアザラシがゆったり(という風に見えます)のっかっていたり、大鷲があちこちに羽を休めていたりするのを見るとほお、意外としっかりしたかたまりなんだなと知らされます。薄曇りから少しずつ太陽が出てきて,気温も高くなり船外から眺めるのがとてもぜいたくです。潮の匂いはほとんどしません。厳冬の海なのだという厳しさはありませんが,これがもし少しでも風が出て雪でも混ざれば,瞬時に想像もできない世界へ変貌するだろう事は判ります。まず、そんな「未知への恐れ」がわきます。
同時に船乗りが鳥や流木で陸の近い事を知るのとは逆の,今だ知らぬ世界(あの世ってことも,,,)への入り口にも見えます。夏の青い海よりも具体的に,この氷の上をたどればいったいどんな世界があるのかという素朴な憧れにとらわれます。自分の足でいける,かも知れないという錯覚につい納得しそうになります。まだ頼りない太陽の光の下でうねる流氷の海は,危険な匂いがします。
今、バンクーバーオリンピックで多くの選手達がしのぎを削っています。彼らもめざしてきたのはまだ知らない世界といえます。新記録とはそういう事でしょう。海にしかれた流氷の道と違うのは,彼らはその世界へ文字通り自分の足で向かっているところです。おそらく流氷さえない海を「片足が沈む前に次の足を出す」ような,壮絶な世界ではないかと感じています。であるからこそ誰よりも熱い涙や表しきれない喜び、隠しきれない口惜しさがあり,私はそれにうたれます。
私もそろそろ自分の足でスキーをしなければと思うのです。リフトに運んでもらってお手軽に楽しむスキーばかりではなくて,本来の姿のスキーをしてもよいのではないかと。滑るために登る。それが本当だとこの頃感じ始めています。スキー場はあくまで練習の場にすぎない。じっさい、圧雪されたゲレンデを滑る事にほとんど興味を失っています。誰も触っていない天然の雪を滑るのが、最も楽しいかなと気付くのがかなり遅かったのですが,そういうスキーを増やしたいと思います。これも未知の世界ではありますが,やはりあこがれがあり恐れがあります。