家具の仕上げ

塗装の事

塗装の目的

家具に限りませんが、塗装するのはすべからくそのものを汚れや割れ、キズ等から保護する目的と、もう一つは価値を高めるための化粧です。従って何も塗らない家具は、ある意味では半製品と言えます。

勿論別の考え方もありますが、楓舎はこの過程を省略しません。汚くなったものを長く愛して下さる奇特な方はまれですし、自分の作ったものをできるだけ長く使って頂こうというためには、仕上げは欠かせないからです。

何百年も使えるものでも、少し痛んだり汚れたりしたせいで捨てられてしまえばそこで終わりです。何百年もかかって成長した木を使ったのに、これでは資源の無駄使いとなってしまいます。手塩にかけた仕事の完成度を高める最後の過程があってこそ、晴れてお客様にお届けすることができます。

塗装とアレルギーの関係について

天然自然のものを使っているから大丈夫なのだ、という議論は、天然自然の素材はいつも誰にでも安全であるわけではない、という事実を無視した思い込みでしょう。

花粉症もトリカブトも天然自然の産物です。しかし100%の人に安全ではありませんし、事実は逆です。そばや大豆のアレルギーもあります。それでも大多数の人はそばや大豆を美味しく食べていますし、花粉症に悩まなくて済んでいる人も居ます。トリカブトの毒に平気な人もどこかにはいるかもしれません。ちなみに楓舎主人は異常ともいえるうるし過敏症です。大抵の人は平気な味噌汁のお椀にもたまにかぶれてしまいます。こう考えてくると、100 %の人に100% 安全を保証する天然自然の産物はないという事になります。

ではどうすれば良いかというと、ご自分のからだと良く相談する必要があります。シンナーを使った塗装はダメ!とか、やっぱり漆でしょ!と頭から決めつけるのではなく、まずご自分の体にとって生理的に問題のないもの、次にご自分の感性や主義の許すものを選べば納得できるのではないでしょういか。ご存じの方も多いと思いますが、この後の塗料のコーナーではもう少し具体的なお話をしています。

塗装に対する誤解について

「木が呼吸できるようにオイルフィニッシュにする」

大変言いずらいのですが、これは塗料や塗装の事をよく知らない、または従来の塗料をうまく塗る事ができない人々の言い訳ではないでしょうか。厳密に言うと、塗って木の呼吸をできなくする塗料はありません。どんなにガラスのような塗膜を作る塗料にも微細な穴がありますから、木は呼吸する事ができます。ただオイルフィニッシュよりは「しずらくなるだけ」です。

「自然塗料だから安心!」

これも誤解です。確かにシンナーを使わない塗料であるという点では「人に優しい、環境に優しい」ということになりますが、どなたにも安心できるものとはいえません。多くのオイルには、乾燥を速めるために水銀や何らかのケミカルは使用されていますし、100%天然の塗料でさえ、健康には良くても家具の美しさを高める性能としてはかなり劣る場合があります。この辺のことは専門店によく相談して、ご自身も勉強する必要があるでしょう。

ご相談はいつでもどうぞ

楓舎はどんな塗装にも応じております。お客様の求めるものが上記のように決まってくれば、楓舎の好みを押し付けられないのは自明です。どの塗料にもそれぞれ長短がありますし、用途によっては大きく制約される事項もあります。 塗装、塗料に関しまして楓舎はいつでもご相談に応じておりますので、何なりとお尋ね下さい。

また、帯広のウッディーワールド社長、斉藤明男氏が開発販売している「ウッドテクニカラーシステム」は、世界初の木材着色塗装の専門書として絶賛されているものです。木材着色塗装を基本から知りたいという方には、まず「木材着色塗装入門と実践」が入門としておすすめです。

Copyright(C) 2001〜2023 Woodworking Fuusha All Rights Reserved.